インタビュー3 日本点字図書館様

日本点字図書館 内藤 牧 様

日本最大の視覚障害者向け図書館として開設された点字図書館。視覚障がい者向けのさまざまな販売を手がけている同館では、いろポチの販売もおこなっています。そんな点字図書館の用具事業課にて、商品の販売・管理を担当している内藤さんにお話をお伺いしました。



いろポチとの出逢い、そして率直な感想をお聞かせください。

佐川先生がいろポチの開発に着手した際、「視覚障がい者を対象とした色に関するアンケート調査」ということで、先天的な全盲者を対象に、当館の点字製作課にモニター依頼のお話がありました。その調査をもとに、商品化されたいろポチを見た時は、サイズ感やデザインがとても可愛い!と感じました。当館では、視覚障がい者向けのさまざまな用具・商品を取り扱っていますが、視覚障がい者向けに特化して開発された福祉用品は、デザインや色使いが優先されないことも多く、オシャレで可愛いものは珍しいのです。百貨店などで一般に売られている洋服に、こんなおしゃれで可愛いタグが付いていたらいいな、と思いました。

実際に使用されているユーザーから反応はいかがですか。

当館の売店でも販売させていただいておりますが、実際に購入された方は、「色がわかるようになってとても便利になった」と喜んでいらっしゃいました。ただ、もともと触読に慣れいる方を対象に開発された商品のため、中途失明の方には分かりにくいとの声も受け取っています。色相環については、その仕組みから丁寧に説明する必要もありました。また、家族やヘルパーさんの助けを借りないと、自分一人ではなかなか洋服にタグを付けられないという声もお聞きしています。

いろポチが今後、どのように普及すると良いと思いますか。

一口に視覚障がい者と言っても、生まれつき目が見えにくい方、後天的に見えなくなってしまった方などさまざまです。つまり、一人ひとり色に関する知識や興味はもちろん、触読のレベルも異なるため、それぞれに対応したアプローチが必要です。商品自体の訴求だけでなく、色の認識方法である色相環のこと、コーディネートの楽しさなど、背景となる基本的な知識や情報も共有していくことも大切なのではないでしょうか。私たちのような団体がいろポチを広めていくのは、いわば使命だと思っています。支援者の方も当事者の方も、いろポチを通じて、ともに色やおしゃれへの理解を深めていけたら良いですね。

 エントランスを入ってすぐ左手にある売店では、家電系用具から文具雑貨までさまざまな商品が販売されている。

鎖のカーテンで覆われた外観は、遠くからでも目立つ存在感。有名な建築設計事務所によるデザインだとか。



 ■社会福祉法人日本点字図書館

1940年創立。点字図書・録音図書の製作・貸出、視覚障害者向け用具販売、その他視覚障害がい者向け教室の開催、その他サービスほか。